2010年09月15日

失敗の本質   戸部良一、鎌田伸一、他四名


非常に優れた分析書として現在に渡るまでその確固たる地位を維持し続けている本書
「失敗の本質」ですが、
この章では、戦争時だけでなく、実生活においての日本人の個人や集団に於ける性質と
その問題点の提起、改善という部分からも書いてみたいと思います。


失敗の本質


ノモンハン事件



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カエサルの「ガリア戦記」のレビューでも
書いた通り、人類史において勝敗を左右する
「兵力」の概念が人の数ではなく、
兵器量という認識に劇的な形で変化した
第一次世界大戦という事象に深く
関与しなかった日本陸軍の経験の脆弱や
指揮系統に於ける現場主義的な発想が
戦況を悪化させたとする認識は興味深いです。

特に関東軍の司令部が相手を薄ノロと罵って
過小評価挙句に敗退した一連の流れには
日露戦争時代、ニコライ二世が日本人を
「サル」と侮って敗戦を期した状況を連想させます。
両者は本書が指摘している通り、相手の戦力を
分析する行為を怠ったという
意味で深く関連しているといえます。

更に日本はこの時点で指揮系統の刷新と、戦争様式の変化への順応を
目指すべきだったという指摘も機知に富んだ洞察です。


ミッドウェー海戦



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歴史学者が指摘する米軍の「暗号解読」が
直接敗因ではなかったとする指摘が印象的です。
更に勝敗を運命論に委ねず、飽く迄
仮定的であるにせよ、山本司令官の
指揮系統の重複などによって戦況が
二分されたとする解析には
傾聴すべき指摘が散見されます。
更に後章で提示されている通り、
「坂の上の雲」でもお馴染みの
日本海海戦参謀を務めた秋山真之少将が想起した
「海戦に関する綱領」の思想を
聖典化し、伝統として刷新しなかったという点も
レーダーなどの科学技術の進歩の差によって敗北した
海軍の失敗の本質としてあげられるのでしょう。


上記二例の結果に於ける主たる原因は、
日本陸海軍が兵器、戦術が大きく進化した
第二次世界大戦下においても、
日露戦争での大勝利という甘美な
経験を忘れられず、頑なに
当時の戦術哲学を固持し続け、
結果的にノモンハンでは最新鋭の戦車に
対し歩兵の物量で挑み敗戦し、
ミッドウェー以降の海戦では、
戦艦「大和」 (写真右)にみられるような
海軍の大艦巨砲至上主義が、
敵の飛行機に呆気無く沈没せしめられた。



日本陸海軍の教育は本書を読む限り優れたカリキュラムで
構成はされていたと言えるものの、しかし、彼らには 「学習」
という分野において知識技能の習得という分野と同時に必要な
「棄却」の概念が欠如していた…
とする本書の指摘(383頁 創造的破壊による突出)
は誠に有力で、それはまさしく、
自らがそれまで信念としていた理念や知識を棄却し、
時代に適した先進的な概念を取り入れる行いに他ならず、
同時にそれは過去の経験が華々しく可憐なものであればあるほど
より困難な作業となる…という性質を考慮しておかねばならない重要な指摘です。


インパール作戦、ガダルカナル島作戦



詳細を改める限り、日本陸軍側の指揮官による敗北以外に原因は見当たらないでしょう。
この主たる指揮官たちの精神論は、終始徹底的に勝敗へ深く関与しています。


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山本七平氏や坂口安吾が戦後指摘している通り、
戦局に際し、情緒的、精神主義的、人情論
などの非科学的論理によって
構築された「空気」が各作戦を覆っていました。
コレに関する本書の指摘で最も当を
得ていると思われるのが、
「日本的集団主義」に関する以下の文章です。

以上挙げたような日本軍の組織構造上の特性は、
「集団主義」と呼ぶことができるであろう。
ここでいう「集団主義」とは、個人の存在を認めず、
集団への奉仕と没入とを最高の
価値基準とするという意味ではない。
個人と組織とを二者択一のものとして
選ぶ視点ではなく、組織とメンバーとの
共生を志向するために、
人間と人間との間の関係(対人関係)
それ自体が最も価値のあるものとされるという
「日本的集団主義」に立脚していると考えられるのである。
そこで重視されるのは、組織目標と目標達成手段の合理的、
体系的な形成・選択よりも、組織メンバー間の「間柄」に対する配慮である。

ノモンハンにおける中央の統帥部と関東軍首脳との関係、
ガダルカナル島撤退決定を遅らせる結果になった陸軍と海軍の関係、
インパールにおける河辺ビルマ方面司令官と牟田口第一五軍司令官との関係、
これらはいずれも「間柄」を中心として
組織の意思決定が行われている過程を示している。
 三一五頁


その他二戦を含む全六戦に見る失敗の本質。



・米国は他の連合国と軍事作戦において協力関係にあったが、日本は伊独との軍事連携作戦は殆んど無かったという点。

・グランド・ストラテジー(大戦略)が、米軍の戦意を喪失させるという具体性を欠いた極めて曖昧なものであったという点

・国力の差を差し引いたとしても、米国は戦闘機、潜水艦、主要艦艇などの製造法をフォーマット化することで、
 効率的に大量生産したのに対し、日本は場当たり的な製造法で製造自体も練度を要求する少量生産型だったということ。




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posted by makomako972 at 02:48| 読書 | 更新情報をチェックする


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