2013年05月11日

就活を一度も経験したことがない自分が、、、

たまには仕事に対する考え方のお話しでもさせて頂きたいと思います。

石原慎太郎さんが1955年に発表された太陽の季節という作品を読みました。

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憎悪すら呼び起こさせるほどの主人公竜哉の振る舞いには最近では一種School daysの誠に通ずる不道徳を感じましたが、
妊娠させた子供を自分の「妙な気取りの為に」始末させるだけに留まらず、母親の英子すら腹膜炎を併発させ死なせてしまうという後味悪い結末には、
日露戦争時に陸軍軍医総監、文学者として有名であった森鴎外の代表作「舞姫」の読後の感慨に近いものがありました。

「わが心の楽しさを思いたまえ。産まれん子は君に似て黒き瞳子をや持ちたらん。この瞳子。ああ、夢にのみ見しは
君が黒き瞳子なり。産まれたらん日には君が正しき心にて、世もあだし名をばなのらせたまわじ」

と木綿の襁褓を手に取り嬉々とした様子で話す本作ヒロインのエリスが、
後に想い人である豊太郎の仕事と自分の二者択一によって、その悲劇の内に

「わが豊太郎ぬし、かくまでにわれをば欺きたまいしか」

と痴なる赤子の如く欷歔し発狂する様は、自身が妊った事実を、秋の海の上をすべるヨットの上で竜哉に伝えた英子が
後に前述の「妙な気取りの為」にその子供を殺すように申しつけられた時の「寂しそうな顔」に重なった。

当時、文壇の方々が斬新さを大いに評価しつつも口を揃えて言及した「一面反撥と嫌味を本能的に感じざるを得ない」という
この評論を、新潮文庫版の末尾解説に於いて奥野建男氏は
「これらの背後に、(当時の文学者たちの)新時代の青年に対する蔑みと、羨望の念の混ざり合っているのが容易に感得できる」
と分析しておられます。
後に「太陽族」といわれる熱狂的な追随者たちが現れたことは、
本作が、時の首相吉田茂が全権委員を伴いサンフランシスコにて署名した対日講和条約によって
日本が連合各国から独立国としての承認を勝ち得てから僅かに数年後に出版されていることを鑑みれば
寧ろ驚くに値しないとも取れるほどに鮮烈かつ斬新であり、その影響力は計り知れないものであったと
若輩ながら推察しますが、同時に当時の社会からは危険扱いされていたのも想像に難くない。

そういった意味では、「太陽の季節」より僅か数年前に発表されたJ.D. Salingerの「The Catcher in the Rye」も
主人公ホールデンの世を拗ねたような、ある意味荒唐無稽ともとれる心理描写が物議を醸し、
本国では一時期禁書目録となっていた事実と類似していると分析できるかもしれません。

作者の石原さん自身は公の場で、自身のノスタルジックが大いに含まれていることを認めつつも
「戦うことをしなくなった近年の若者」についての憂いとも警鐘ともとれるご発言を時折なさっていますが、
これは無欲、無気力に象徴される現代の若者を揶揄しての事と概ね認識してよいのかと思います。
このご発言に対して無知蒙昧な僕がどうこう言うつもりはありませんが、
確かに現代古典、、というカテゴリに属すこれらの時代の作品には一種の反骨精神に由来する独特の力強さを感じますし
それを戦う事ともし定義するなら、文学者のみならず多くの一般社会人であった諸先輩方が、
戦後から高度経済成長期にかけての日本社会は、正しく戦いの歴史であったと仰るのもその証左たるところであるかと思いますし、
前述の対日講和条約の背後で時の政府に多大な影響を与え、現在も尚、些かもその事実が揺るがない
日米安全保障条約に関連する「安保闘争」もまた、当時の若者にとっての鮮烈な戦いだったのでしょう。

翻ってバブル崩壊から「失われた十年」を過ぎ、一種の熟成期に入ったと評される昨今の社会は、
低所得、低支出生活をモットーとしたダウンシフターズというライフスタイルの価値基準の形態が
ジュリエット・B. ショアの『浪費するアメリカ人』の中で初めて邦書として紹介されて以来、
お金と時間、そしてそれに伴うストレスというデリケートな問題として現在も至る所で侃々諤々論議され続けています。

これらの生き方を石原さんの仰る「戦うことをしなくなった若者」と同義であると認識して良いかという問題は、
それこそ僕のような社会人としての経験が数年しかない新参者が一概には言えることではありませんが、
少なくともライフスタイルの価値基準の形態そのものが、多種多様に変化しつつあることは事実であると考えています。

私的には、多額の設備投資を行い半ば背水の陣であった起業という選択肢は、
現在のネット時代の到来により、以前に比べると様々な情報の取得、
各種のインフラ設備を非常にローコストで運営できる時代となってきていると考えたものですから、
Mr.Childrenの桜井和寿さんが書かれた名曲、終わりなき旅の一節ではありませんが、
就活→内定→就職という単一的な選択肢に対し、根拠のない漠然とした疑問を持ったことも相俟って今の仕事を起こしました。
創業当時は色々な借金をしていましたし、目まぐるしくも働いていましたが、
次第に効率化が進み、業績も毎年右肩上がりであったものですから、
現在はビジネスにおいてもプライベートにおいても全くの無借金で生活できるようになり、一日の労働時間は平均して3時間程度でこなし、
オーディオやバイク、クルマにゲームやアニメを楽しんだりという趣味の生活をそれなりに過ごせるようになりましたが
この「太陽の季節」の読後にふと、当時の若者達の力強さに鑑み、
社会で「戦かっている」という実感の無い今の自分の生活に一抹の不安を感じずにはいられません。

『悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意思によるものだ』

とはフランスの哲学者アランの論ですが、
今の僕はまだ、社会に対しての商品価値、経験の質と量、それに人間としての道徳的価値観に至るまで、
さまざまな観点から不十分な点が余りに多い。
戦後から高度成長期にかけての当時の若者が真摯に考え続けた「社会と自分」との向き合い方を、
俄に僕自身見つめ直さねばならない時期にあると切実に感じました。


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posted by makomako972 at 02:07| 読書 | 更新情報をチェックする


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