2011年02月09日

And Then There Were None アガサ・クリスティ

アガサクリスティの私的なイメージというと、アーサー・コナン・ドイルに端を発する十九世紀の推理小説に続く、
「ミステリーの女王」と言われた二十世紀の推理小説の代表格であり、また同文学に於ける中興の祖、といったイメージが何となくあります。

And Then There Were None

本書のタイトルは出版される年代に応じて差別用語に対する認識が変化したのに伴い、くるくると変化しており、
僕が愛読している旧版は「TEN LITTLE NIGGERS」と表紙右上に表記されているため、かなり古い時代のものであると思いますが
これより新しいものは「And Then There Were None」と表記され、そして誰もいなくなった、、という日本題と合致するタイトルになってますね。
各登場人物がインディアン島の邸にそれぞれ与えられた部屋で目にしたマザー・グース「Ten Little Niggers」も同様に差別用語とされたため、
その後「Ten Little Indians」に変更され、更にインディアンも差別用語となるため、現在では「Ten Little Soldiers」と改変されているらしいですが、
本国初版が三十九年と七十年以上が経過しているため、このような事も起こってくるのは寧ろ些かも不自然ではないとも言えますが、
年代ごとに変更されているのは題名だけではなく、翻訳者も同様に変更されているところも重要な要素となってくるようです。

旧訳と新訳の担当者がそれぞれ異なり、概ね旧訳の清水俊二氏の訳が評価が高く、
新訳の青木久惠訳の方は、「インディアン」を「兵隊さん」に訳を変更したりと、
やはり差別用語などに配慮しなければならなかった背景もあってか多少のご不満を抱かれる方もいらっしゃるそうです。
ネイティブアメリカン(これも民族浄化の関与となるようですが)と刷り込まれているので
「インディアン」という単語がイギリスやアメリカの文学から登場すると少々ヒヤリとしたりもしますが
清水俊二氏の訳で読んだ自分としては確かに「兵隊さん」では少し拍子抜けてしまう気も…しなくはないでしょうか。
特定の人に嫌悪感を抱かせてしまう言葉というのは意外に多く、
蛇足かもしれませんが以前、「五山送り火」を「大文字焼き」と京都出身の友人の前で云ってしまったところ、
「僕は気にしないけど京都で口走るとエラいことになるかも笑」とご忠告を頂いたことがあり、
成程、色々勉強しなければならないことが多いなぁと思うと共に、それ以来、「五山送り火」と言うように留意していますが、
作家の先生方は言葉を常に発信し続ける立場にあるので、より一層の配慮が必要なんだろうな、、などと考えたりもしておりました。

さて、本作の内容に関しては僕みたいな人間が今更批評したところでこの金字塔の風采は些かも揺るがないでしょうが、
流石、完成されたミステリー小説であると思います。
推理小説であるため根掘り葉掘り本編の本質的、核心的部分に言及することは避けたほうがよろしいかと思いますので、割愛しますが、
P85、マカーサー将軍が自らの過去に巻き起こった黒い陰謀を回想する場面がありますが、彼は一連の自らの悪事の罪に苛まれ、
晩年はデヴァン(デヴォン Devon は、イングランド南西部の地域であり作中にも登場する地名、コーンウォール半島の中部に位置するようです)
に住居を構え、安息日は欠かさず教会へと赴いたと明記されていますが、ダビデがエリアを戦場へと送ったくだりの説教の日には行かなかった、、
と書かれているのは何とも興味深いですね。
確かにマカーサー将軍の惚れた女性の思い人を、自らの地位を利用し陰謀の内に死に至らしめるという点に於いて両者は非常に似通っています。

お前は剣と槍を頼りに戦うが、私はお前がなぶったイスラエルの戦列の神、万軍の主の名を頼りに戦う。
戦いは剣と槍の力で決するものではないことを人々は知ることになるだろう。これはイスラエルの神の戦いである


と宣言し、身の丈6キュビト(大体三メートル)はあろうかという大男にパチンコみたいなスリングショットだけで挑み、これに見事勝利を収め、
大衆の厚い信頼を得たこの偉大な古代イスラエルの王同様、マカーサー将軍も部下の厚い信頼を得ていましたが、
将軍のその陰謀の全容に気付いているといった目つきをしていた若い部下、アーミテイジはこの場合、
差し詰めサムエル記に登場する預言者ナタンと言ったところでしょうか。
しかしナタンはダビデに指摘したのに対しアーミテイジはどうやら黙殺したようですが。

これ以外にも聖書からの引用が幾つか存在しますが、これは本作に限らずこれはキリスト教が根底にあるイギリス、アメリカ文学全般に言える事であり、
まずもって聖書やシェイクスピアについての知識に傾倒するぐらいの勢いが無い限り本質に迫れない部分が多々あり、
例によってその両者の知識に明るくない自分は度々まごついています(笑)
そういった意味では、以前読んだJ.DサリンジャーのThe catcher in the ryeの主人公も作中、十二使徒を一種侮蔑したような自己見解を示したりしていましたし、
一昔前に大流行したダンブラウンのダヴィンチコードに関しては、題材が題材なだけにこの分野の基礎知識がない人を
完全にマーケティングに於けるペルソナから外しているといったような印象すら受けたものですから、
読後は改めて一読者である僕自身の無知を呪ってやりたい気分にもなりましたね(笑)

何れにしても難しいことはサッパリ解らない自分ですが、
このAnd Then There Were Noneは初めて読んだときから面白かったという印象が変わることがない興味深い作品です。


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posted by makomako972 at 08:34| 読書 | 更新情報をチェックする


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