2013年02月18日

伊豆の踊子  川端康成

最近は暇があれば原付(JOG ZR)のアルミクランクケースを磨いています。
ゼファーやFZもアルミに鏡面加工を施したパーツが多くあるので、半年に一度は磨くようにしていますが
如何せんJOGは駐車している場所に屋根があるとはいえ「雨晒し駐車」であることには変わりはないので、
磨く頻度が多少多くなります(といっても二、三ヶ月に一度程度ですが…笑)

さてそんな話は兎も角、今回は川端康成の「伊豆の踊子」を読みました。

伊豆の踊子


氏の作品としては、実業之日本社発行の「少女の友」に連載された「乙女の港」以来ですので
僕自身は相当長い間、川端文学から離れていたことになります。


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初読でまず感じたのは、前回の筒井康隆
「ベトナム観光公社」でも書かせて頂きましたが、
川端康成も作品の幅が異常に広いのだな…というようなことでした。
取り分け「乙女の港」と「伊豆の踊子」の二作品は
同じ作家が書いたとは思えないほど性質が違います。
中里恒子という下書きを行った作家が居たこともその要因の一つとなっている前者は、
話の内容、登場人物の心情が一読するだけで手に取るように明瞭に理解でき、
時代を生きる若者へのシンパシーという部分に重点を置いて書かれており、
実に読みやすく、とても七十年前の古典作品とは思えぬほど心地よい
スピード感があったのが印象的でした。
弥生美術館学芸員である内田静枝氏は解説で
「昨今のライトノベルなどのムーブメントの源流に位置する」という考察を
記しておられ、私的にも諸手を挙げて同意するところであります。
それに対し、今回の「伊豆の踊子」は短い文章ながら
重厚に生々しくも可憐な表現で記された心理、情景描写は
一読で済ますには惜しいものを感じました。
中でも最も印象深かったのが自然の情景を筆頭とする文章、日本語の美しさでしょうか。
最近、ジョルジュサンドの「プチットファデット」や
ダン・ブラウンの「ダヴィンチコード」などのアメリカ、ヨーロッパ出身の作品を
積極的に併読していたのでそれらの作品自体の取材力や文化力の
ようなものには圧倒的な魅力を感じていたものの、
まるで外国に長期滞在した日本人が和食を欲しがるように、
思わず唸ってしまうような美しい日本語が読みたい!
とも同時に感じていたのでこれは有り難い事でした。

興味深いのはラストの部分、
「私はどんなに親切にされても、それを大変自然に受け入れられるような美しい空虚な気持ちだった。
明日朝早く婆さんを上野駅へ連れて行って水戸まで切符を買ってやるのも、
至極あたりまえのことだと思っていた。何もかもが一つに融け合って感じられた」


この節の心情を竹西寛子氏は、
「それは偶然の恩寵によって、過剰な自意識という傲慢の霧の吹き払われたしるしなのである」と述べ、
主人公の涙が“感傷”に起因するものではないとしています。
この“過剰な自意識という傲慢の霧の吹き払われたしるし”によって
物語が締めくくられているという点に於いては「乙女の港」も同様でしょうか。

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物語終盤、クリスマス当日の日にアンドレ教会にくるようにと洋子言われ、
制服姿で向かった三千子はそこで子供たちの歌う聖歌を聴いて涙します。
てっきりクリスマスプレゼントとして素敵な“物”をくれるのだろうと思っていた三千子は、
そんな自分が恥ずかしくなり、
同時に「新しい心の目」を洋子が与えてくれたことに大いに慶賀し、また感謝します。
この「新しい心の目」というものが前述の「自意識という傲慢の霧の吹き払われた」状態と
同一視できるか断定はできませんが少なくとも僕はそのような気がしています。
何れにせよ、そう考えると「伊豆の踊子」の主人公もまた、
踊り子との出会いと別れによって新しい次元の価値観や認識を
獲得できたという意味に於いては
一つの成長物語とも考えられるのかも…とも思いますし。

あと非常に感銘を受けたのは、何と言ってもたった四十五ページの文章量で、
あれだけの情報量を詰め込むことができる技巧でしょうか。
三島由紀夫の解説では

「方解石の大きな結晶をどんなに砕いても同じ形の小さな結晶の形に分かれるように、
川端氏の小説は、小説の長さと構成との関係について心を労したりする必要がないのである」


と書き賛辞を呈しておりますが、僕はこの例えの警抜さに賛辞を呈したいといったところですネ。

あと、この作品のタイトルの音の響きの美しさは最早僕が語るまでも無いことですが、英文版のタイトル、

イズ・ダンサー

にはちょっと笑いました。もうちょっと言いようがあるんじゃないのって思うんですが…
全然ジャンルは違いますがオーガスト製作のPCゲームに

「夜明け前より瑠璃色な」

という美しすぎるタイトルの名作がありますが、これも英語にすると“Brighter than dawning blue”というまんまな表現になるらしく、
こういう時ばかりは日本語知っててよかったなと切実に思います。


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posted by makomako972 at 20:08| 読書 | 更新情報をチェックする


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