2013年03月25日

La Petite Fadette   George Sand

久々に大当たりを引きました。
ジョルジュ・サンドのプチットファデット(愛の妖精)です。

愛の妖精


作者がファデットを通じ敷衍、演繹したフェミニズム



現代の社会では度々、女性の付和雷同を
批判する男性の論調を耳にすることがあります。
斯様な言い分に耳を欹ててみると「流行に感化されやすい趣味嗜好」
といった他律性を指摘するものや、「職場で自分の味方を作ろうと画策する」
などの集団心理に根付いた振る舞いを指摘するものまで実に様々なのですが、
しかし、では女性が皆そういうパーソナリティを持っているかというと、
実際には孤高に生きる人もかなりの数で居るでしょうし、
ただ単にそういった思想を抱き、群衆となって一つの方向に向かっている
人々の方が強い影響力を持つため、注目されやすいだけの
話であるような気もするわけで、もっと言わせて頂けるなら
その一部の付和雷同する女性たちにしても、影響されるのは自主性がいない
とか他律的であるとかと論駁される以前に、現代のこの社会が
センスや思想を”流行”とか”常識”とかという定型的な概念に
仕立て上げて発信することによって、さまざまな意味での利益を生み出す
仕組みになっている以上、流れに逆らわず、順応し、
適合して生きていこうというそういった思想は、現代で生き抜くための
一つの有効な処世術として成立しているものなのだと私的には認識しています。
さてしかし、それと同時に思うのは、もしそういったアイデンティティを
抱く女性がそんな現代社会の影響を多分に受けてが生み出した
存在なのだとすると、本作の主人公であるファデットのようなパーソナリティを
持つ女性は誕生しづらいはずである…というようなことでしょうか。

ファデットの心の内にある自助自立の精神は、権利や権力欲の幻影ではなく、
行った行為とその結果についての恐ろしいまでの高い洞察力と、自身の出生を
源泉とする逆境や弊害に対する強靭な免疫と健かさとで構成されています。
しかし、中盤から終盤に掛けて、内面の清らかさに加えて外面的にも
美しい少女へと変わってく彼女は本能を御する力を持ちながらも、
想い人に少しの疑念、欺瞞を口にされただけでも
深い悲しみに涙したりする少女らしい一面も持ち合わせていて、
彼女の自律した哲学の数々は実利主義的な冷徹ではなく、
人として、そしてなにより女性として血の通った温かさがあることが解ります。

決して男に諂わず、人や世を恨まず嫉まず、
周囲に影響されず、かといって道徳に反する行いもしない。
己の力のみによって理想を手にする姿を描くことで、
十九世紀の閨秀作家であったジョルジュサンドは
「男にとって都合のよい女性」という意味で女性の本質を描かず、
「人間として真に強い女性」というキャラクターを描くことで
本当に理想的なフェミニズムを演繹していると感じました。



ショパンとゼルダ。作家を伴侶に持つという事とは



↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
クラシックピアノを小学生の頃から習っていた自分の私的な印象として
ジョルジュサンドといえば”ショパンの愛人”というイメージの方が強くあります。
取り分けショパンがマズルカ島を離れ、フランス ノアンにあるサンドの
別荘で過ごした一時は、彼自身が衣食住に関する煩瑣な事柄に時間や労力を
消費させることなく、創作活動に没頭できるという人生最高の環境であったことから、
その時代に「Polonaise No.6 Op. 53」などの珠玉の名曲を数多く生み出しています。

※因みに右のCDはショパンと同じポーランド出身の巨匠、
 アルトゥール・ルービンシュタインのRCAベスト盤。
 ここに収録されている1964年カーネギーホール録音版の
 Polonaise No.6 Op. 53は「鍵盤の王者」の名に相応しい力強い演奏で
 僕が最も気に入っている演奏盤の一つです。


さて、それら世紀の名曲の数々を世に送り出したショパンを陰に
日向に支えたサンドの内助の功は彼女の本業である文学界のみならず、
当時の西洋音楽界の発展にも貢献したとも言え、
当時の西洋芸術にとって非常に重要な役割を担った人物であるというのが、
僕自身のサンドへの印象なのですが、
反対に当時二人の恋路を見届けたヴォイチェフ・グジマワ伯爵は

「もしショパンがサンドに出会うという不幸に見舞われず、
彼女にその生命を毒されなかったとしたら、
彼はケルビーニの歳まで生きていただろうに。」


と言って彼女の人格を否定していますが、この言い分を聞いていると、

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
豪華絢爛で自由奔放な生活を好むゼルダ・セイヤーとの
離婚を強く慫慂するヘミングウェイに、全く耳を貸さなかった
S・フィッツジェラルドを何となく連想させられます。
グレート・ギャツビーの翻訳を行った村上春樹氏は同作の解説で

「ヘミングウェイの推測はある意味では正鵠を射ていたが、
ある意味では大切なところを見逃していた。
スコットは本質的にゼルダという熱を必要とし、
ゼルダは本質的にスコットという発熱を必要としていたのだ。
彼らはその発熱を通じて、インスピレーションを鮮やかに交換し合い、
高めていくことができた」


と記しておられ、なるほど、
確かにゼルダが悪女としてスコットの傍らで常に彼を翻弄したことが、
ギャツビーやデイジーという強烈なアイデンティティーを附与された
色鮮やかなキャラクターの創造に貢献したという意味に於いては、
またゼルダの存在意義も…といったことなのでしょうが、そう言った観点から考えるなら
傍目からは悪く思われる側面があったショパンの愛人サンドも、
病弱なショパンを看病したりといったプラス面だけでなく
マイナス面からもショパンの創作物に何らかの
刺激を与えていたのかもしれないな…とも思います。
(何だかものすごくサンドの肩を持っている言い方ですが、そこは勘弁して下さい 笑)


価値があるのは、複雑難解な文章だけではない


さて、そんなサンドの代表作「プチットファデット」は本当に素晴らしい一作です。
登場人物が長閑な田園風景の中で生き生きと生活する様が伸びやかに描かれており、

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
読んでいて苦戦するような
言い回しも少なく、スラスラと読み進める事ができる魅力があります。
これも反対に「単純すぎる」とか「精緻さ、正確さに欠ける」といった
評論もあるようですが、物語の整合性を追求し、精度の高い翻訳にフォーカスする
という現代文学の心理主義に傾倒した詩編的な翻訳を行うと、
作品自体が持っているスピード感や迫力感といったものを損ないかねないという
前回シェイクスピアのハムレットで引用させていただいた
福田恆存氏の考察が示すとおり、直情的に人々が動いていったり、
或いはリアリズムの多少伴わないような表現が散見されるからといって
それが一概に作品の本質的な価値と同一視できるといった考え方は
持っていませんので私的には全然OKです。 美味しく頂けます。

あとは何といっても印象的だったのがメインヒロインであるファデットの魅力でしょうか。
特に中盤、マドレーヌ(こちらは正真正銘の悪女)に
ランドリーと仲直りをしてくれと懇願するファデットの台詞には
すっかり魅了されてしまい、結局物語が終わるまで彼女にメロメロでした(笑)
村の子供たちから「コオロギ」と後ろ指を指された貧しい家の娘が、
村一番の美女になっていき、村一番の富豪に、そして村一番の知恵者へと成長し、
想い人を自分のものにするというのはある意味に於いては
究極的なサクセスストーリーで、ハッピーエンド好きの自分としては最高の一作でした。



↓ Related article & External Links ↓
関連記事 & 外部リンク


AMAZON





posted by makomako972 at 06:30| 読書 | 更新情報をチェックする


other con[1].jpg



DSC05355[2A].JPG
財布とカード類の選定
DSC05355[2A].JPG
楽器演奏動画の
紹介
DSC05355[2A].JPG
ビアンキの
ロードを買う
DSC05355[2A].JPG
100冊読書の記録。


DSC05355[2A].JPG
自作、工作したもの。
DSC05355[2A].JPG
オススメCDの一覧。
DSC05355[2A].JPG
オススメBDソフト一覧
DSC05355[2A].JPG
シアターシステム紹介。


DSC05355[2A].JPG
法務大臣からの感謝状
DSC05355[2A].JPG
東京マルイ H&K PSG-1
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
U3A
DSC05355[2A].JPG
デスクの小物たち。







my bikes[1][1].jpg



Recommended Article
DSC05355[2A].JPG
Harley
Sportster
Recommended Article
DSC05355[2A].JPG
DUCATI
SS900
Recommended Article
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
FZ400
Recommended Article
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
JOG ZR
Recommended Article
DSC05355[2A].JPG
HONDA
NSR250
  
Recommended Article
DSC05355[2A].JPG
KAWASAKI
ZEP 750
  
Recommended Article
DSC05355[2A].JPG
HONDA
SPADA 250


latest article[1].jpg


最近の記事