2011年04月20日

道をひらく 松下幸之助 + 松下公園へ行く。

僕のような人間には埒外にも理解し得ないことですが、
辣腕を遺憾なく発揮し稀有な成功を収めた企業家というのは、
どうやら自分や自分の家族、或いは身の回りの他人のみならず
一国の繁栄に深く寄与したいという高い志をお持ちの方が
多いらしく、今回読んだ松下さんもその例外ではないようで、
誰もが知るこの名著にも彼のビジネス哲学のみならず
そういった国家観や国民観、その他ありとあらゆる分野の広い見識と
教養を伺うことができるまさに珠玉の一冊です。

道をひらく



生涯の伴侶たる一冊。



「幸福だから笑うわけではない、むしろ、笑うから幸福なのだと言いたい」
(アラン 幸福論 第七十七編 友情)


アランの幸福論

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
短編随筆集という構成であるためか
本書の主知主義的な精神、人生論には
幸福論に近しい印象を受けます。
アランの弟子アンドレ・モーロワの評、

「この本は一目で見わたすべき
建物のようではない。
これを一息に読むのは、
まちがいだろう。
時の流れのなかで置きなおすほうがましだ。
一日に二編か三編のプロポ。
すぐに不可欠になり、すぐに愛され、全生涯の伴侶と
なるだろうところの枕頭の書」


は本書にも当てはまるのではないかと思います。


四十八頁 花のように。


不毛地帯

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
自らを律し生きる重要性を
花に喩えていますが、
これは山崎豊子氏の代表作の一つ
「不毛地帯」の作中で登場する
法華経の御教え
 
“世間の法に染まらざること、
蓮華の水に在るが如し”

 
に通ずるものがあり、剰え
主人公壱岐正が企業家としての倫理の狭間で
苦悩する場面で引用されていた…というのも
共通項として挙げられます。
またよく様々な書籍で引用される

天下ヲ得ルニハ、一不義ヲ成サズ 一無辜ヲ殺サズ
「天下を取るには、一つの不義も一つの無実の人をも殺めてはならない」

という孟子の有名な教えにも同様に近しいものを感じさせます。
高いモラルやガバナンス、コンプライアンス管理が要求される
昨今の社会構造の中で、道徳というものに対する認識は、
商才と同等以上に重要な特質なのかもしれませんね。


八十頁  断を下す。



マネジメント

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
決断の重要性は領袖にこそある
と説くこの文章から思い起こすのは
読んでいると思い起こすのは、
ドラッカーの「マネジメント」の
「事業の目標設定に必要なバランス」
の一文。 そこでは優先順位の見極めの元
決断の重要性を説き、文章の末尾には

“まちがった優先順位でも
無いよりましである”


と強い言葉で、指針の必要性を説いていておられ興味深いです。
152項の“旗を見る”では、成果を慎重に検討する力を持たぬは
目闇夜の盲射ちに等しい…と説いていますがこれはドラッカーが
“働きがい”に必要なものとして示した有名な三箇条(74項 責任と保障)

①生産的な仕事  ②フィードバック情報  ③継続学習が不可欠である

の②の部分に該当する考えでしょうか。
更にこの②の部分の補足としてドラッカーは、
自己管理が可能でなければならず、自らの成果についての情報が
不可欠であると記しており、非常に重要な概念であるとしています。
因みに非常に重要な概念…という意味では同氏の

「人を管理する能力、議長役や
面接の能力を学ぶことはできる。
管理体制、昇進制度、報奨制度を通じて
人材開発に有効な方策を講ずることもできる。
だがそれだけでは十分ではない。
根本的な資質が必要である。真摯さである。
(中略)マネジャーの仕事は始めから身につけていなければならない
資質が、一つだけある。才能ではない。真摯さである」


という考えも、部下だけでなく顧客に対してもまた然り、という考えを補足して考えると

「やっぱりいちばん大事なことは、誠意あふれる熱意ではないか。
知識も大事、才能も大事。しかし。それがなければ、
ほんとうに仕事ができないというものでもない。
たとえ知識乏しく、才能が劣っていても、なんとかこの仕事をやりとげよう、
なんとかしてでもこの仕事をやりとげたい、
そういう誠実な熱意にあふれていたならば、
そこから必ずよい仕事が生まれてくる。」


という「道をひらく」一五六項の“引きつける”の松下氏の考えに則すものとも
認識できるような気がして興味深いです。
 


九五頁 カンを働かす。



対局観

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
少し戻って九五項の”直感”に
ついて述べたこの章は、
僕が以前読ませて頂いたプロ棋士
羽生善治先生の代表的著書
“対局観”に、より掘り下げて
研究された内容が示されていました。
松下氏はこの章で、一見して勘とは
非現実的で非科学的なもののように
思われるが、重畳なる研鑽によって
生み出された直感というのは
類い希な正確性を持っている…と書いておられますが、
将棋界において燦然たる活躍をなさっている羽生先生も、

「直感とは、数多くの選択肢から適当に選んでいるのではなく、
自分自身が今までに積み上げた蓄積のなかから
経験則によって選択しているのではないかと、私は考えている」


と述べておられ、同時に棋士の直感とは感想戦で磨かれるものであり、
自分の行った選択を、きちんと冷静に検証し
顧みることで培われるとも書いています。
これは先ほどのフィードバック情報の重要性を説いた松下氏や
ドラッカーの考えに即するようで面白いですが、何れにしても
この直感という現象に対する両氏の符合は非常に気になる点です。




一四六頁  働き方のくふう。



対局観

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
最後に僕が最も感銘を受けた
章でも書いておきたいと思います。
書き出し

「額に汗して働く姿は尊い。
だがいつまでも額に汗して働くのは知恵のない話である。」


からも解るとおり、
仕事にアイデアや工夫を施して
効率よく成果を上げることの
重要性を説いておられ、
こういった考えのもと、
仕事を改革することでその全容が大きく変化しうる…というところが
自営の最大の楽しみだなぁと
最近よく感じている自分にはまあ何とも印象的な章でした。

勤勉は美徳…という価値観が国民性に由来するという話は
よく耳にしますが、そこについて思い起こすのは、
僕がとても気に入っている坂口安吾の 「堕落論」 の中の一節で出てくる
「肉体の酷使耐乏の謳歌」と「過去へ向けられた憧憬賛美」という
人々の価値観にフォーカスした技巧的な一文です。
詳しくは堕落論の記事内で書いたことですので割愛しますが、

「ボタン一つ押し、ハンドルを廻すだけですむことを、
一日中エイエイ苦労して、
汗の結晶だの勤労のよろこびなどと、馬鹿げた話である。」


というのも総じて似たような切り口の論調で、
要は心理学でよく言われる 「良かった探し」 をする
ポリアンナは人格的には優れた処世術を
もつのかもしれませんが、反対にその処世術が向上心を
失わせてしまう…という 「ポリアンナ症候群」 を招くように、
勤勉も一見すると美徳ではあるのかもしれませんが、
勤勉だけで万事上手くいくかというと、そういうわけではないのだ…
という一つの人生哲学として記憶に留めています。





というわけで著書を読むと松下幸之助という人物に興味が湧いてきたので
生家跡地に作られた松下公園に行ってみました。

松下記念公園



和佐児童遊園



記念公園

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
割と近場にあるので自転車で
そのまま行ってもよかったのですが、
時間の関係で手持ちのビアンキロードを
車でトランポし、途中から行きました。
現地は公園と道を挟んで向かいに
和佐児童遊園があり、
記念碑はこちらに鎮座しています。
同郷の湯川秀樹によって揮毫された
「松下幸之助君生誕の地」 の字が
シンボリックな石碑ですが、
湯川自身は和歌山に暮らした事は無く、
京都出身を称しているので些か臨場感的なものは薄れますが、
本人揮毫であることには間違いはないようです。



松下公園



記念公園

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
こちらの方が敷地面積は広く
遊具などの規模も大きいように感じられます。
こちらも入り口には
「松下公園」の揮毫がありますが、
これは湯川秀樹のものではないでしょう。
早朝6時30分頃に行ったのですが、
前日行われたのか刈られた芝の束が
至る所に蟻塚のように連なっていました。




幸之助桜




道をひらく

わるい時がすぎれば、よい時は必ずくる。
おしなべて、事を成す人は、必ず時の来るのを待つ。
あせらずあわてず、静かに時の来るのを待つ。
時を待つ心は、春を待つ桜の姿といえよう。
だが何もせずに待つことは、僥倖(ぎょうこう)を待つに等しい。
静かに春を待つ桜は、 一瞬の休みもなく力をたくわえている。
たくわえられた力がなければ
時が来ても事は成就しないであろう。

 ━道をひらく 時を待つ心 より



松下公園入口向かいの和佐児童遊園の端には
"幸之助桜" の大木が聳え立ちます。





↓ Related article & External Links ↓
関連記事 & 外部リンク


AMAZON





posted by makomako972 at 00:25| 読書 | 更新情報をチェックする


other con[1].jpg



DSC05355[2A].JPG
財布とカード類の選定
DSC05355[2A].JPG
ランボルギーニ
の自転車を買う
DSC05355[2A].JPG
ビアンキの
ロードを買う
DSC05355[2A].JPG
自転車専用
ガレージ制作


DSC05355[2A].JPG
自作、工作したもの。
DSC05355[2A].JPG
オススメの
CDやBDの紹介
DSC05355[2A].JPG
100冊読書の記録。
DSC05355[2A].JPG
シアターシステム紹介。


DSC05355[2A].JPG
法務大臣からの感謝状
DSC05355[2A].JPG
東京マルイ H&K PSG-1
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
U3A
DSC05355[2A].JPG
デスクの小物たち。






my bikes[1][1].jpg



DSC05355[2A].JPG
Harley
Sportster
DSC05355[2A].JPG
DUCATI
SS900
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
FZ400
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
JOG ZR
DSC05355[2A].JPG
HONDA
NSR250
  
DSC05355[2A].JPG
KAWASAKI
ZEP 750
  
DSC05355[2A].JPG
HONDA
SPADA 250




latest article[1].jpg


最近の記事