2014年01月17日

堕落論  坂口安吾

多い時もありますし逆に少ない時もありますが、僕は平均して大凡一週間に一冊程度、本を読んでいるようでして、
とある統計によりますと日本人の平均読書数もこれと同じくらいなのだとか。

つまり多くもなければ、少なくもない…というような按配で、付和雷同の精神が図らずもこんなところにも表れているのかと思う今日この頃です。

今回は名著、S.スマイルズの「自助論」と並行して読み進めていた本書「堕落論」の話でも書きたいと考えております。


坂口安吾の堕落論


以前、アランの「幸福論」を読んだときは西村賢太氏の「苦役列車」でメンタルを自分なりにスタビライズして、
均衡を保とうとした…というような話を書かせていただきましたが、今回は「自助論」と「堕落論」という二冊の間柄で調整しています。

さて、本書には「堕落論」、「続堕落論」、「青春論」、「恋愛論」の四編が収録されており、すべて短編サイズのエッセイ集というレイアウトで、
随所に目を見張るような説得力をもつ論理や解釈、あるいは洞察が示されており、非常に興味深い内容となっています。


平清盛と後白河法皇の関係から考える「天皇論」



まず読み始めて直ぐに面接するのが「天皇論」と皇族の歴史に関する考察です。
話題としてこれは非常にセンシティブな領域ですので、
私見を披歴することは控えさせていただきたいと考えておりますが、
学生時代から不思議に思っていた、

「私設軍隊などの具体的な力を持たない皇族は
何故破滅せずに現代に至るまで存続しえたか」


という疑問に対する回答とも取れる内容が示されており、
読んでいてとりわけ思い返されるのは、平清盛と後白河法皇の関係であります。
一時、後白河法皇を幽閉するにまで至った清盛は太政大臣を歴任し確かな権力と、
武家の軍力の双方を掌握していたにもかかわらず、具体的な策を講ずることなく、
自らが皇族の一員になろうとしたわけですが、
こういった政略的事情に対する答えのような洞察であり、
また、更にそれから遥か数百年後、関白に任ぜられた秀吉にも同様の事が言えますし、
それから更に数百年後、陸軍省が絶対的な権力を持った
昭和の時代も同様の結論とも言えるでしょうか。


いずれにしても全体を通じて形式的な「健全なる道義」からの解放を、
雷のように強い文言で慫慂する所謂啓蒙で構成されており、
また人はそれによって新たなる出発の支度とせねばならない
という信念を背骨として話は進んでいきます。
私的に本作の堕落とは、恣行せよと安易に述べるものではなく、
根幹となる部分からの解放と再構築を慫慂しているのだろうと認識しております。




「肉体の酷使耐乏への謳歌」というワナ。



道をひらく

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
「続・堕落論」は「堕落論」よりも更に興味深く拝見させていただきました。

冒頭、農村の美徳に関する序文から始まり、
最終的には、「肉体の酷使耐乏の謳歌」「過去へ向けられた憧憬賛美」という
マターを題材とした壮大な国家論へと技巧的にスケールが拡大していきます。

「耐乏を美徳と称す。一里二里は歩けという。
五階六階へエレベータアなどはナマクラ千万の根性だという。
機械に頼って勤労精神を忘れるのは亡国のものだという。
すべてがあべこべなのだ。真理は偽らぬものである。
すなわち真理によって復讐せられ、肉体の勤労にたより、
耐乏の精神にたよって今日亡国の悲運をまねいたではないか。

ボタン一つ押し、ハンドルを廻すだけですむことを、一日中エイエイ苦労して、
汗の結晶だの勤労のよろこびなどと、馬鹿げた話である。」


というこの章の論文を集約したかのような気焔を吐く見解は、
ある意味に於いては以前紹介させていただいた松下幸之助の「道をひらく」の一遍に記されていた、

「額に汗して働く姿は尊い。だがいつまでも額に汗して働くのは知恵のない話である。」
(一四六項  働き方のくふう)

というのに則しているのかなとも取れ、誠に鋭い洞察である気も致します。


「青春論」と「五輪書」



宮本武蔵

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
その後に収められている「青春論」も目が離せない作品です。
まず冒頭の安吾自身の青春や日々の生活に関する解釈が面白く、なかんずく、

「このような女の人に比べると、
僕の生活などはまるで中味がカラッポだと言っていいほど一時間一時間が実感に乏しく、
かつ、だらしがない。てんでいのちが籠っておらぬ。
一本の髪の毛はおろかなこと、一本の指一本の腕がなくなっても、
その不便についての実感や、外見を恐れる見栄についての実感などはあるにしても、
失われた『小さないのち』というものに何の感覚も持たぬであろう。」


という一文には強いシーを感じる次第であります。
僕も一時間などという時間は
「あれ?もうこんなに過ぎたの??…ふ~ん、ま、そんなことはどうでもいいや」
といった具合で日々を浪費しています(笑)

更に興味深かったのは、
その後示される宮本武蔵の「五輪書」は紛い物であるとする安吾の認識です。
一見して胡乱げな切り口の論理ですが、子細に言い分を検めてみると、
成程、武蔵の生き様と、悟りの側面から記された同書には乖離する部分が否めず、
武蔵の戦法や戦術は、甚だ悟りとは異なるもののように思えてくるわけで、
正しく一理も二理もある一方ならぬ解釈だと思わざる負えない印象も受けました。
僕自身も自宅の書斎に並んでいる吉川英治作の宮本武蔵はサラッと程度読んだわけですが、
全く気付きえぬ考えでした。

いずれにしてもこの本は今まで読んだ本の中でも最も感動した部類に入る、まさしくお気に入りの一冊でした。
この感激はサンドのプチットファデット以来でしょうか。久々の感覚です。




↓ Related article & External Links ↓
関連記事 & 外部リンク


AMAZON





posted by makomako972 at 00:41| 読書 | 更新情報をチェックする


other con[1].jpg



DSC05355[2A].JPG
財布とカード類の選定
DSC05355[2A].JPG
ランボルギーニ
の自転車を買う
DSC05355[2A].JPG
ビアンキの
ロードを買う
DSC05355[2A].JPG
自転車専用
ガレージ制作


DSC05355[2A].JPG
自作、工作したもの。
DSC05355[2A].JPG
オススメの
CDやBDの紹介
DSC05355[2A].JPG
100冊読書の記録。
DSC05355[2A].JPG
シアターシステム紹介。


DSC05355[2A].JPG
法務大臣からの感謝状
DSC05355[2A].JPG
東京マルイ H&K PSG-1
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
U3A
DSC05355[2A].JPG
デスクの小物たち。






my bikes[1][1].jpg



DSC05355[2A].JPG
Harley
Sportster
DSC05355[2A].JPG
DUCATI
SS900
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
FZ400
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
JOG ZR
DSC05355[2A].JPG
HONDA
NSR250
  
DSC05355[2A].JPG
KAWASAKI
ZEP 750
  
DSC05355[2A].JPG
HONDA
SPADA 250




latest article[1].jpg


最近の記事