2014年05月24日

「成り上がり」 「アー・ユー・ハッピー?」 「英雄の哲学」  矢沢永吉


今回は自叙伝の代名詞ともいえる大ベストセラー「成り上がり」とその後に出版された
「アー・ユー・ハッピー?」、それに大リーガーイチローとの対談の模様を収録した「英雄の哲学」
の三冊からいろいろ書きたいかなと、そのように考えております。

成り上がり

世間において普遍的に言われる

"より多くの人の生き方に触れ、異なる価値観や経験、知識や知恵を得たほうが人生を豊かに生きれる"

…という考えが真理であるとするなら、本書は一読の価値があると思います。
というのも「成り上がり」と「アー・ユー・ハッピー?」の二冊は、
作中に普遍的要素や他律的な要素というものが一切と言って差し支えないほど見当たらず、
際立つのは彼の強烈な自主性と異質とも云える事象の数々で、特にそれらを二十代独特の
瑞々しさで見事に描かれているという印象を抱いたからです。
後に書かれた「アー・ユー・ハッピー?」では打って変わって経験に基づいた大局的な視点から
理路整然とした切り口で語られている…という両書の差異も興味深い点ですが、
作中、矢沢さん自身が言及している通り、本書に登場する様々な哲学やそれに基づく振る舞いの
正邪や合理性はそれを読んだ人各々が判断すれば良いのであって、
ライフスタイルの一サンプルとして考えるならこの因子は他に類を見ないほど
甚だ奇奇怪怪で観察するにはもってこいの存在だ…ということかなと思います。


コワモテの人だけがもつ愛嬌の原理。


成り上がり

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さて「成り上がり」を読み始めて始めて感じたことは、
"この人はナメたら怖い人だが、特殊な愛嬌がある"という事でしょうか。

年賀状なんか来たよ。オレ、読んだ。

「なんとかなんとかで、弱っちゃった。困っちゃったの」

「の」が最後についてる。ワオー!広島に「の」とかつける女いないわけ。
わしら、オンドリャーとやってる中でさ、「困っちゃったの」ってあった時は、
もう、メジャー!って感じた。
  ━「成り上がり」第四十五項

この一文はなんだか思わず笑ってしまいました(笑) 
といっても嘲笑っているわけではなく愛嬌があってウケました。
大人たちが手を付けられないほどの不良が、一目惚れした少女に
「矢沢君、まじめになって」 と手紙で渡されただけでスッパリ足を洗う
という実直さや純粋さ、そして"こうと決めたら、誰が何と言おうが直ぐやる"
という矢沢さんの終始一貫した強いパーソナリティが、
細部に至るまで体現されているので痛快です。
よく言われるヤンキーがモテる力学…というのも
外見とその振る舞い…という視覚的ギャップが効果を発揮している場合が多く、
例えば真面目な男子が道端で捨てられている子犬を発見して
「この子の親を探してあげないと!」と必死で街中を奔走しても絵がもたないですが、
ショッキングピンクの髪をツンツンに立て、ダボダボの学生服を着た不良が、
子犬の入った段ボール箱を抱えて「こいつの親、さがしてやんねぇと!」と、
必死になっているのは絵面が良いんですね。 純粋さが際立つというものです。
「ごくせん」を初めとする不良更正ドラマがOAで数字を取るのは、
ある意味こういった力学が場面場面で巧みに作用している証左でもあるのかなと思います。
同じように男女とも「異性のギャップに弱い」と仰る人がいますが、これも似たような心理効果だと思います。
いずれにしろ矢沢さんのそういった愛嬌は学生時代で途絶えてしまったかというと決してそういうことはなく、
今尚彼にはそういった特殊な愛嬌があり、そういったところも彼の魅力の一つなのだろうと思います。


理屈や理由なく、ただひたすらやってる。ということ


英雄の哲学

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今回の三冊でとりわけ気になった箇所のことを書かせて頂きたいと思います。
登場するのは「英雄の哲学」で矢沢さんが言ったポリシーの一つ、

やることがあるからうれしいんだっていう人は、理屈なんてないんだよ。
ただひたすらやってんですよ。理屈言ってる奴は、僕、嘘だと思う。

 ━「英雄の哲学」第三十五項

この言葉を聞いて思い起こすのは、
このブログでは度々引用している太宰治の「御伽草子」の一篇です。

「信じる力とでも言い直したらどうでしょう。
あの谷の向う側にたしかに美しい花が咲いていると信じ得た人だけが、
何の躊躇もなく藤蔓にすがって向こう側に渡っていきます。
それを人は曲芸かと思って、或は喝采し、或は何の人気取りめがと顰蹙します。
しかし、それは絶対に曲芸師の綱渡りとは違っているのです。
藤蔓にすがって谷を渡っている人は、ただ向こう側の花を見たいだけなのです。

自分がいま冒険をしているなんて、
そんな卑俗な見栄みたいなものは持ってやしないんです。
なんの冒険が自慢になるものですか。ばかばかしい。信じているのです。
太宰治

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花のあることを信じ切っているのです。
そんな姿を、まあ、仮に冒険と呼んでいるだけです。
あなたに冒険心が無いというのは、あなたには信じる能力が無いという事です。
信じることは、下品ですか。信じる事は、邪道ですか。どうも、
あなたがた紳士は、信じない事を誇りにして生きているのだから
卑しいものなのですよ。吝嗇というものです。
損をしたくないという事ばかり考えている証拠ですよ。
御安心なさい。誰も、あなたに、ものをねだりやしませんよ。
人の深切(しんせつ)をさえ、あなたたちは素直に受け取る事を
知らないんだからなあ。あとのお返しが大変だ、なんてね。
いや、どうも、風流の士なんてものは、ケチなもんだ。」
 ━「御伽草子」第二百九十項

━ただ向こう側の花を見たいだけなのです。━ 
この一文の意味するところが見事に符合していると
感じたことを書きたかっただけなのですが、
そのあとの文まで引用したのは、見事な文章だったという理由と、
僕自身の内に存在するある種のアンチテーゼを代弁して頂いたという理由、
そして自分への戒め的な感覚で引用していたりしますが、
いずれにしてもこの両者の言い分は興味深いものがあります。
仔細に観察してみると、つまり太宰氏の
「花のあることを信じ切っているのです。
そんな姿を、まあ、仮に冒険と呼んでいるだけです」

という部分から推察するに、この場合肝心なのは、
花があると信じて藤蔓にすがってただ向こう側に渡っている人だけであり、
それがどのような意味のある冒険であるか…などという事は甚だ些末なことで、
「冒険とは」などと高みの見物でもしながらあれこれと講釈を振るう人なんてのは、
新海誠

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矢沢さんが上記の一文で言っている「理屈言ってる奴」ということになるのでしょうかね。

これは最早「ごちゃごちゃ言ってる前にやれば?」という
よく聞かれる常套句的な指摘の域を超えて、
「ごちゃごちゃ言う以前に、もうやってる。ただやってる。」という
動物的ともいえる本能の欲求によって人は自己実現へと向かう…
というプロセスの示唆であるように思えます。
そういう意味に於いては、前回紹介した
新海誠監督の「言の葉の庭」のノベライズ版でも引用させていただいた、

「でも本当に、本当に心の底からなにかを創りたい人は、
誰かになにかを訊いたり言ったりする前に、もう創ってるんだ」


という台詞も、上記の二者のポリシーに即しているとも取れるでしょうか。

何はともあれ、改めて矢沢さんのこの三冊を見直してみると、
成程、確かに彼は動物的ともいえる本能の欲求によって
確実に自己実現へと向かっていった様子が垣間見れるような気がします。
まあ動物的…といっても彼の場合は豹やライオンのような、超肉食の危険な野生動物ですが。



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posted by makomako972 at 03:08| 読書 | 更新情報をチェックする


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