2012年01月06日

幼年期の終わり アーサー.C.クラーク

今回は古典SFの巨頭、アーサー.C.クラークの代表作「幼年期の終わり」を読んだので、
その話でもさせて頂きたいと思います。

幼年期の終わり



降りて来い。オーヴァーロード。




DSASD地球に突如巨大な未確認飛行物体が降りてくる、若しくは無数の
小型UFOが飛来する…といった設定のハリウッド映画は今も昔も
数多存在しますが、そういった作品で描かれる宇宙人は、
人類科学を遥かに超越する武力を振るい、地球を占領支配しようとする
恣意的な存在として描かれているケースが多いように見受けられます。
恐らく斯様な気質や性質を異星人に持たせることで、人類との戦闘の様子を
存分に描くことができるというメリットがあるためであり、
観客をハラハラさせるような高度でダイナミックなCGなどを駆使した
派手な演出効果や、最新鋭の立体音響効果を施せる上に、敵味方、正邪を
明確に定義できるので、勧善懲悪的な見せ方もできます。
哲学的要素を排し、極限までエンタメ性を追求したこれらのSF映画は見る者を
選ばず、"ただ見ているだけ"で楽しい作品となっています。

しかし、このクラークの代表作である「幼年期の終わり」は、
キューブリックとの合作である「2001年宇宙の旅」同様、そういった
ハリウッドSF映画的な物語とは全く真逆の作品であると言えるかもしれません。
まず、地球に飛来したオーヴァーロードと呼ばれる宇宙人は、
絶対的な支配力を有していながら、地球人に植民地的な支配をしません。
作中序盤、驕慢で稚拙な恐怖心を抱いたとある国がそんなオーヴァーロードの
乗っているUFOにミサイル攻撃を仕掛けることがありますが、
彼らのUFOは傷一つ負わず、報復に怯え戦々恐々とするその国に
武力攻撃を行わないどころか、その件に対し一切の声明も出さないという
徹底した振る舞いを見せます。そして報復のミサイルの代わりに
彼らオーヴァーロードが人類に対して与えたのは、
飢餓や戦争、宗教や病気の無い社会を確立するための科学力と政治であり、
それを無償で享受した人類社会は瞬く間に進歩し、
まさしく黄金期とも言える理想社会を確立していく訳であります。

どのような理想的な統治体制であれ、自由連合のウェインライトのように
支配への抵抗を行う人の心情は理解できるのですが、
この「幼年期の終わり」の読了後、
ふとテレビをつけて世界中の様々なニュースを見ていると、

「ここ(今の地球)にもカレラン降りてこねぇかなぁ~」

とちょっと思ってしまいますね(笑)
後に精神のメタモルフォーゼが起こり、ロングダンスなるものを踊り出すような奇矯な
新人類が誕生するというのも、一見してディストピア的なリザルトであるように見えますが、
そんな新人類が、今の我々人類の夢や希望、その全てに終焉を迎えさせる(三五八、九頁)
というカレランの説明を聞いていると、成程。そう考えると大いにアリな進化形態なんだろう…
なんて考えてしまいます。短絡的な思考回路なのかもしれませんが。



来星するなり、いきなり攻撃してくる宇宙人って。



DSASD僕はインデペンデス・デイのようなドンパチSF作品も
スリリングで大好きですが、そもそも、宇宙人がこの星に来星するなり
矢庭に武力行使を行ってくる…というそれらの作品が
示した予測には少し懐疑的な印象を持っています。
というのも、星間航法を可能たらしめるような高度な科学技術の発展には、
一も二もなく、様々な深遠なる事実を解き明かす為の遠大な実験研究の
階梯が必要であるわけですが、それらに孜孜として打ち込む為には、
まずもって日常生活を、ある程度不自由なく過ごせる環境が必要であり、
そのためには統治され、管理された社会構造が必然的に必要となります。
「衣食足りて礼節を知る」ではありませんが、
日常生活に多少の余裕がなければ目先のことに手一杯で、
ましてや、司法や治安維持機構が機能せず、殺人などの犯罪行為が
徒に看過される無秩序体制では、十分な研究など望むべくもなく同様に
それを統べる政治や行政、それらを育てる基礎教育なども、
多分野の科学技術の発展には必要であるように思われます。
こういった考えは著しく人間の文明に則した思考なのかもしれませんが、
科学技術が発展している…ということはつまり行政、司法、立法なども
同等の水準で発展していなければならない筈で、この観点から行くと、
地球に飛来することが容易に行えるほどの高度な文明を持つ宇宙人が、
突然武力をもって人間を占領支配しようと企てるのは
些か蓋然性を欠く推測なのでは…と考えての事です。

例えば今となっては有り得ないことですが、地球上に未だ嘗て
誰も発見し得なかった孤島が今になって突如発見され、
そこには原始人レベルの文化、科学水準を持つ宇宙人が
人間に干渉せず生活していたとします。
水爆一発でその宇宙人を滅ぼすことができる今の人類が、
それを即座に行うかというと、私的にその可能性は低いように思われます。
水爆一発で滅ぼせるだけの科学を持っているからこそ、それを実行しない
文明があるのであり、言い方を変えれば、高い科学技術は、高い水準の
行政、司法、立法の一部であるという考え方です。
(とはいえ、世界中を見渡せばかなりの例外はあるようではありますが…)

さて、前文が長くなってしまいましたが、これらを踏まえ、
武力行使を一切行わなかったカレラン率いるオーヴァーロード、
そしてその彼らに教育され、理想社会を実現した人類から私的に感じたことは、
この孤島の宇宙人に対するものと似ており、

「高度に発展した化学技術は平和に貢献し、その証左たらねばならない」

というようなことでしょうか。

本作にはクラーク自身の平和への渇望というテーマが内包されているのであろう…
ということは沢山の読者の方々がご指摘なさっているので間違いはないところだとすると、
この考察は埒外にも著者の意図に反する感慨であるという事は無い様に思われますが…どうなんでしょうか。



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posted by makomako972 at 02:59| 読書 | 更新情報をチェックする


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