2012年02月12日

星を継ぐもの J.P.ホーガン 

SF関係の雑誌、或はそれに類する様々な書籍に掲載されている”好きなSF小説”的なランキングでは、
ハインラインの「夏への扉」と並んで、常に上位にランクされているのがこの作品です。
僕自身、読んだことが無かったので、そのようなランキングを拝見するたびに少々胡乱げな心持でいたのですが、
この度読んでみて感じ得たのは「これはスゲェ」ということと共に、
その巷の評価にたがわぬ素晴らしい作品であるという揺るぎない確信でしょうか。

こんな作品を一人で書ける作家がいるとは俄かには信じられません。


星を継ぐもの



科学的根拠とミッシング・リンク。



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先月読んだばかりのフィリップ.K.ディックの「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」や
アーサー.C.クラークの「幼年期の終わり」等は、
相当昔にレビューを書かせて頂いたダニエルキイスの
「アルジャーノンに花束を」と同じく、SFという基礎的な性質を持ちながら、
人生哲学や社会哲学の領域にまでに敷衍して書かれた高遠な作品でしたが、
このホーガンの「星を継ぐもの」は太陽系全体という遠大なスケールの
生物史、人類史を、生物学、考古学、物理学、統計学をはじめとした様々な
学問の英知を駆使して書かれた純度の高いサイエンス・フィクションです。
そのせいもあってか、私的に前述の作品群は文系的な性質を持っているのに対し、
本作は理系的な要素が多く含まれているように感じられます。

そんなSF色の強い本作ですが私的に興味深かったのは、ハントが地球の科学者に
対してに向けて行った終盤(二六一頁~)のカンファレンスの中で、
彼の仮説がダーウィンが唱えた進化論の最大の誤謬である
「ミッシング・リンク」の問題を見事に回避している点でしょうか。
僕自身はこの誤謬を根拠に進化論というものには些か懐疑的な見方をしている
部分もあったのですが、本作のような星間規模での人類進化の系譜を提示されると、
サイエンス・フィクションであると解っていながらも強ち進化論は荒唐無稽な
論理であるとはいえないのかも…と思うようになってきました。
古生物学の分野でも、未だに謎とされている部分はかなり多くあるようですし。


ミステリー色の強いSF。



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更にこの作品は、主人公のハント、生物学の権威であるダンチェッカーを
はじめとした様々な分野のエキスパートが、
月面で発見されたチャーリーについて気焔を吐くような論議を侃侃諤諤行い、
仮説が起こり、反駁され、淘汰され、
また新たなる論証を裏付ける物的証拠が発見されたり、
解明されてはその都度、また新たな仮説が起こっては反駁され消えていく…
というミステリー的な要素をふんだんに盛り込んだ作品でもあり、
あらゆる事象に翻弄されながらも事実に近づいていく
科学者たちと足並みを全く揃え、
我々読者自身も物語の深遠なる真相に近づくことができるよう、
巧みに計算された文章構成になっています。




一見して教条的に見える教授のキャラ。



この作品を読む前、オムニバス小説であるトムゴドウィンの
「冷たい方程式」に収録されているアイザックアシモフの信念という
短編に触れたのですが、その内容が、この「星を継ぐもの」に登場するダンチェッカーの

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序盤から中盤にかけてのパーソナリティーに類似していて面白かった。
その「信念」という作品中で描かれる主人公は、とある大学の教諭をしているのですが、
ある日突然、自分の身体が宙に浮いてしまうという奇怪な現象に
憑りつかれるようになります。更にその事象は本人の意に介さぬ局面で突如起こるため、
次第に周囲から怪訝な目で見られ、次第に周囲から疎まれるようになっていきます。
物理学に精通していた彼は、物理学者を生業にしている友人や上司に相談しますが、
結局は取り合ってもらえず、次第に孤立していきます。
一見してこの現象に対する周囲の振る舞いや、その切り口はカフカの
「変身」に似ているように感じましたが、毒虫という気味の悪い生物に
変化してしまう主人公を通じて、読者にある種の強烈なシンパシーを与える
「変身」に対して、アシモフは宙に浮いた人間という変化を通じて、
「そんな奇怪で胡乱げな事象は自分の今まで学んできた常識から外れている」
などと不寛容なことを言ってまともに取り合おうともせず、嘘吐きの烙印を押す
教条的な研究者に対する何らかのアンチテーゼの
ようなものがあるように感じられました。
物語序盤のダンチェッカーも同様に今まで人類が研究し、
定義して来た進化論の枠にはずれる考察には耳を貸そうとしない意固地な
人間であるように感じられますが、読み進めるうち、彼が前述で書いた
”教条的な研究者”ではないことが次第に解るようになってきます。
とりわけ、終盤ハントと共に宇宙基地に着いたとき、それまで両者の関係を隔てていた
国や研究理念、或はその他さまざまな自分と他人を定義する枠を
「ふたりが仰ぎ見た地球」という最も根幹となる"人類"という
共通点の元で和解し、協力するようになっていくというのは興味深い点です。
クラークの作品等でもそうですが、この時代のSF作家は、人種、国の境を超え
世界政府を樹立した地球規模の社会構造を描く傾向のあるように思われますが、
こういうのも一種彼らのユートピア象の体現なんでしょうか。


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posted by makomako972 at 10:52| 読書 | 更新情報をチェックする


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