2011年03月01日

五輪書  鎌田茂雄(宮本武蔵)

今回は宮本武蔵の「五輪書」の現代語訳版を読んだので、その話でもしたいと思います。


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徹底した実利主義の体現。



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宮本武蔵という人間のパーソナリティーは、
現代にまでその威厳が継承されている他の偉人たちとは些か異なるようです。
良く言えば実利主義。マイナスの側面から言えば卑怯者。といったような按配で、
取り分け後者のような心象を多くの人から抱かれるに至った出来事として
以下のような幾つかのエピソードや性質が挙げられます。
例えば武蔵が松平出雲守の家臣との手合せをした際、相手がまだ戦闘の準備が
整わぬうちから木刀で容赦ない打擲を食らわし一息に倒してしまった…とか、
吉岡清十郎や佐々木小次郎の試合をはじめとして、
大体取り決めた試合時間には遅れるし、吉岡の門弟百余人と
戦ったときなどは反対に非常識なほど早く現場に入り、
木の陰に身を潜めて時間をやり過ごし、「どうせ武蔵は遅れてくるだろう」と
気を抜いている敵の大将に不意打ちし、首をはねたりしています。

卑怯かといえばそうかもしれませんが、真剣を用いた試合は負ければ即、
死に繋がるという妥協の余地がない前提がある以上、礼儀だの美学だの
という形式主義以前に死んでは元も子もないので、取り敢えず是が非でも勝つ…
というのは十分あり得る哲学であり、
戦乱の世に於いては処世術と申せるかもしれません。

なかんずく、刀での真剣勝負がなくなり、
体の芯まで平和ボケした僕のようなナマクラが彼の振る舞いを記した文献を読んで
「おい武蔵!お前は卑怯だぞ!」となどともし論駁したところで、
当の武蔵も「お前にだけは言われたくないわ!!」ときっと言うでしょうし。

大衆小説の代表的な作品としても知られる吉川英治氏の「宮本武蔵」を読んでいても、
まあ当時の世相というのは随分と物騒というか紙一重で人の命や一生が
遣り取りされているな…という印象を受けたので、
武蔵が生きていた一五八〇~一六五〇年と、
現代社会の生死に関する認識というのは随分乖離しているのだろう…
と思うに至る一助となっているように思います。



坂口安吾の"宮本武蔵論"



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僕が非常に気に入って愛読している戦中戦後の無頼派作家、
坂口安吾のエッセイ集「堕落論」の中に記された「青春論」の中には
宮本武蔵の「五輪書」に対するかなりの批判が記されています。

「いつでも死ねる、という偉丈夫の覚悟が彼にはなかったのだ。
その覚悟がなかったために編み出すことの出来た独特無比の剣法ではあったけれども、
それゆえまた剣を棄てて他に道をひらくだけの芸がなく、生活の振幅がなかった。
都甲太兵衛は家老になって、一夜に庭をつくる放れ業を演じているが、
武蔵は二十八で試合をやめて花々しい青春の幕をとじた後でも一生碌々たる
剣術使いで、自分の編みだした剣法が
世に容れられぬことを憤るだけのことにすぎない。
六十の時『五輪書』を書いたけれども、個性の上に不抜な術を築き上げた
天才剣の光輝はすでになく、率直に自己の剣を説くだけの自信と力がなく、
徒に極意書風のもったいぶった言辞を弄して、
地水火風空の物々しい五巻に分けたり、深遠を衒って俗に堕し、
ボンクラの本性を暴露しているに過ぎないのである。」━堕落論「青春論 第八七頁」


とかなりの剣幕で非難しています。
「ボンクラの本性を暴露しているに過ぎない」というのは些か偏頗な論に
過ぎるように思いますが、確かにこの「五輪書」を読んでいると心技体、
それぞれの肝要な部分の解説が少なく、随所に「能々吟味すべし」とか
「能々工夫有るべし」とか、挙句の果てには「此事品々口伝也」…要するに、
「こういうのってフィーリングだからニュアンスを文章で書くのは無理なのよ。
だから聞いてよ、君の師匠に」  というような文章まで出てきます。
兵法の枠から演繹した、いわゆる理想としての普遍妥当な価値を示す真善美や、
瞠目すべき妙諦らしいものは幾つか散見されるのですが
全体として構成は些か荒々しく、十全たる書物である…という印象を抱くのは少し難しいでしょうか。

それは恐らく、安吾が言う " 個性の上に不抜な術を築き上げた天才剣の光輝 "
というものがあまりに稀有で奇矯なものなのであり、世俗の極意書の構成や
文体に変換することがそもそも不可能な高遠である…という事実の証左であるような気もしますが。


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posted by makomako972 at 20:43| 読書 | 更新情報をチェックする


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