2015年08月29日

カルメン   Prosper Mérimée






反転して出てくる文章は "激情" の引用ではありません。 僕の独り言です。
さて、今回はバロネス・オルツィの代表作 「紅はこべ」 に続き、今回は世界有数の知名度を誇り、
誰もが知るジョルジュ・ビゼー作のオペラ 「カルメン」 の原作であるメリメの一作の話でも書いていきたいと思います。

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原作の印象とビゼー作との相違点。



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最も違う部分は皆さんご存知の通り、闘牛士エスカミーリョが登場しないことです。
原作であるこのメリメのカルメンでは出所してきたばかりの
カルメンの情夫ガルシヤを短刀で殺害し、最終的には闘牛場前ではなく、
野原でカルメン自身も殺害します。
精神的にも肉体的にも、もはやアレルギー等というには生易しい、
殆んどアナフィラキシーと言ってもよいほど束縛を過度に嫌悪するカルメンと
ホセの独占欲の拮抗となる終盤は、最終的にホセの送った指輪を
投げるという、カルメン自身が自ら己の死期を知りつつ呼び寄せたかのような
象徴的な行為と、まんまとその行為に逆上したホセが刺し殺すという
至って直情的な感情の激突でありながら、文学としては高い奥行きを
維持しているところが私的に驚きでした。
恋愛物語においても展開が叙情的に粛々と進行する印象があるドイツや
日本の文学では、たとえばゲーテの世界的文学 「若きウェルテルの悩み」 など、
人妻への片想いに苦しみ、最終的には自身のその狂気の処理を自分自身では行えず、
銃自殺を図るウェルテルの心情を有る得るだけの詩とその量を用いて粘り強く描く
質実剛健な文章ではなく、スペインらしく、パッショナブルであり、快活で、
また二元論的なアルゴリズムで構成される本作はそれらに起因した物語の明瞭さや
瑞々しさを多分に維持しつつも、メリメ自身の地形学、言語学に深く精通した
解説なども相俟って終始古典文学の傑作たる重厚な趣を維持し続けています。

メリメが作中でホセから一連の悲劇を牢獄で聴くという一種の劇中劇構成は、
戯曲としてはシェイクスピアの 「夏の夜の夢」 なんかと似ていて面白いですね。
ま、実際カルメンのオペラ、ミュージカルと同様、「夏の夜の夢」 の冒頭で登場する酔っぱらいも
存在を削除される構成もあれば、そのまま登場させる場合もあるので、その点も似通っているでしょうか。


クラシック音楽としての 「カルメン」



本場ヨーロッパのオペラカルメンの映像自体は最近まで部分部分でしか
拝見したことがなく、今回初めて幾つかの劇団の全場を通じて観ました。
どちらかと言うとこのカルメンはオペラから…というよりクラシック音楽からの流れで
関心を持ったのが最初で、パブロ・デ・サラサーテの 「カルメン幻想曲」 が
全楽章とも好きなので昔から聞いていた…というところからスタートしています。
同曲集はヴァイオリンコンチェルトの形式で演奏される事が多く、
劇中のカルメンのアイデンティティから影響を受けてか、真紅のドレスに身を包んだ
女流ヴァイオリニストが演奏することが多いですが、
私的には奏者のテクニカルな弓使いや音の粒を揃えたピッツィカートの音像が
より掴みやすいピアノ伴奏のほうが好みだったりします。
しかし曲自体、特に第一楽章の頭の数小節などは
オケ版のほうが迫力があってこちらも魅力的ですね。
何れにしてもラロの 「ヴァイオリン協奏曲第2番」 やカルロス・ガルデルの
「Por una cabeza」 などと並んで
ヴァイオリン主体の古典音楽群の中では最も好きな部類です。

因みに右はパブロ・デ・サラサーテの 「カルメン幻想曲」 で、奏者は韓国系ドイツ人である
クララ・ジュミ・カン、伴奏は韓国の原州市生まれの女性ピアニストであるソン・ヨルム。


激情 ―ホセとカルメン― 宝塚歌劇団 宙組&星組


・初演 宙組 1999年

ミュージカル、オペラを含めた演技芸術の演目に於ける
「カルメン」で私的に最も気に入っているのが、
99年に宝塚歌劇団宙組によって公演された本作です。
本作では姿月あさとさん、花總まりさん、それに和央ようかさんに樹里咲穂さん、
湖月わたるさんが出演する錚々たる顔ぶれで行われた作品で、なかでも要注目なのは、
女帝の異名をもつトップ娘役である花總まりさんが熱演されているカルメンです。
非の打ち所がないほど究極に体現された彼女のカルメンは絶品で、
孤高と自由を空気のように必要として生きる可憐なるジプシーの女が、
見事に花總さんに憑依しており、ご本人のおっとりホワホワとした可愛らしい
素の状態からは想像できない熱演ぶりです。
美しいソバージュの黒髪と深いセンタースリットの入ったドレスの裾を翻し、
ホセを演じる姿月さんを籠絡する姿は、兎に角お色気たっぷりで
「縄を解け」 とホセに迫る一場の破壊力はかなりのもので、
翻弄されるホセを見ていて、男としては、
「しょーがないよ。お花がエロすぎるんだよ。ずんこは悪くないよ」 て感じです。
本作は12年以上のトップ娘役としてのキャリアの中でも
最高傑作の一つといえるかと思います。
あと印象的だったのが、メリメを演じる和央ようかさんが、
あらくれ男のガルシアを兼役しているところで、撃ち殺されたらまた直ぐさま本を
持ってメリメとして登場するギャップが面白いですね。

・再演 星組 2010年

因みに2010年に行われた星組再演版も後に拝見しました。
こちらでカルメンを演じておられた夢咲ねねさんは低い音域を得意とする稀有な娘役で、
「ナポレオン」 のジョセフィーヌと同様、男を翻弄する演技は高い説得力を帯びています。
ホセに「イヌとは違う」と歌う一場面では、
マージンゼロの全力全開で演技しておられるお姿が印象的です。
それに応えるちえさんの演技、歌唱もいつもながらの安定感で、良い再演だと思いました。
音楽の構成も変化を凝らすなど多角的に見応えのある作品であるともいえます。



その他、歌劇として。


・「FREEDOM ―ミスター・カルメン―」 宙組 2000年

F40ビゼーのオペラではなく、現代ミュージカル編成として本作を
題材にしたものとして過去に拝見したのは宝塚歌劇団宙組が2000年に
バウホールで演じた「FREEDOM ―ミスター・カルメン―」 が最初で
本作は主人公のカルメンとドン・ホセの性別を反転させ、樹里咲穂さん演じる男のカルメン、
それに以前書いた星組のスカーレット・ピンパーネルでマルグリットを
演じた遠野あすかさんが女性のドン・ホセを演じるという
稀有な設定ですが、私的にはかなり好きです。
舞台もスペインから大恐慌時代のアメリカに移されているため、
古典的な色合いの中にも現代的で軽やかなテイストが
含まれていて遠野さんの楽器のように劇場に響き渡る美しいソプラノも聴くことができる上に
純な女性警官という設定も何だかヤラシくて好きです(笑)
遠野さんはその後、星組のトップ娘役として様々な主要キャラクターを演じていきますが
「エル・アルコン鷹」のギルダ・ラヴァンヌや「红と黒」のレナール夫人など、
女海賊とか人妻とかのキワドい役どころを持ち前の美貌と美声を駆使して恐ろしいほどの
エロさで演じていくこととなります。(何の話だ)

・大阪 ザ・フェニックスホール 2012年

その他、宝塚以外では2012年4月6日 大阪 ザ・フェニックスホールで
行われた赤穂 美紀さんのカルメンも全場拝見しました。
(ホセ 瀬田 雅巳 エスカミリオ 花月 真 ミカエラ 高嶋 優羽 メリメ 志波 ちなみ)
この劇で赤いドレスを着てカルメンを演じておられる赤穂美紀さんのお姿は
僕が思い描くカルメンのパーソナリティに最も近いでしょうか。
歌声も非常にお美しいですし、カルメンの鋭利な気性が見事に表現されていると思います。
ウィーン国立歌劇場でカルロス・クライバー指揮の元、
演じられた本場のビゼー版カルメンは規模も大きく、
主要劇団員の方々の歌唱力も絶大的なのですが、如何せん何を言っているのかわからない…
という重大なこちら側の欠陥がありますのでなんとも言いようがありません(笑)
これはモーツァルトの古典オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」や「魔笛」などを観ていても起こりうることですが、
よ~く観ないとどちらがフィオルディリージなのかドラベッラなのかわからず、
アリアの一場でようやく「あれ!?こっちがフィオルディリージだったの!?」なんてマヌケなことになるわけです(笑)
その点、「白鳥の湖」 や 「くるみ割り人形」 「眠りの森の美女」 などのチャイコフスキーが書いた有名な古典バレエなどは
見るときに苦労せず世界共通として楽しめるので親近感があって、ついついそちらを優先的に観てしまうというところも
オペラから少し距離を置いたままになっている一因でしょうか。



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タグ:仏文学
posted by makomako972 at 02:27| 読書 | 更新情報をチェックする


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