2016年01月10日

ボヴァリー夫人  Gustave Flaubert

コンチクショー!! 2016年こそこんな超極貧生活からは脱却だぁ!!
と虚しく息巻いている今の自分にはボヴァリー夫人の言い分が少し解ります。

ほんの少しですが。

DSC07506[1][1].jpg


自然主義と写実主義  経済と愛。



・写実主義と自然主義の違いに関する私的な認識。


日本文学における自然主義とは藤村の 「破戒」 にみられるように、
浪漫主義からの派生で誕生したという性質を有するが故に、
人物の心理描写に浪漫主義的な色あいが濃く、自然主義文学を
"自然" たらしめるリアリズムとして存在する被差別部落の問題は、
その色モンや動機でしかなく、森鴎外が自然主義について
「科学の論述なのか」 と論じた通り、本来は写実主義と
そう性質に違いがない自然主義が、日本においてのみ露悪的な
自己心理の描写を含む事によって、性質的な差異が生じている
というのが私的な認識で、こういった作品群と写実主義文学の
礎となった歴史的な一作である本作とは性質的に異なるものです。



・それぞれ恋愛観が異なる「赤と黒」 「マノン・レスコー」 「椿姫」


↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
モームの『世界の十大小説』に列する一作。
鮮烈な革命を経ても、ヒエラルキー社会が続く
フランスで困窮する大衆のリアリズム、とりわけ
フローベール自身のルサンチマンを「エマ」という
被造物を用い語りかける構造が特徴的です。

経済と恋愛の関連を起点としたた作品として
デュマ・フィスの「椿姫」や、アベ・プレヴォの
「マノン」 も同様の作品として
挙げられるのでしょうが、その各々の作品に登場する
男女の苦難の性質は些か異なります。
例えば「椿姫」ではアルマンとマルグリットは、
両者とも自らの理想的な生活を維持するため、
経済的問題を共有していましたが、
「マノン」では作中でも描写されている通り、
マノンには金銭的な執着はなく、彼女にあるには
その金銭によってもたらされる快楽だけであり、
専ら経済の問題に悩まされたのは、
その金銭によって彼女の心を自らの手の内に
留めておこうとするシュヴァリエだけでした。
翻って本作ではシャルルに金銭的な不満が
無い代わり、エマが苦悩します。

↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
男性特有の直情的な欲求を究極的に追求した
シュヴァリエとは異なり、エマを魅了したのは
ブルジョワジーでそれに夫以外の男性に求めた
本質には、「貴族社会の優位」 という
女性特有の幻想的な憧憬に起因しています。
これは三百年前の英霊の姿に恋い焦がれた
「赤と黒」 のマチルドの自意識とも異なります。
何れにしてもエマもグリューも己の破滅が
経済的な部分に起因し、動機も異なるにも拘らず、
両作とも超一流の写実主義作品として
評価されているのは興味深い点です。



ルサンチマン。



↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
聖書的な道徳教育とは徹底的異なり
風紀紊乱罪として起訴された本作の恐ろしさは
エマの不貞行為だけでなく、寧ろその動機、
広い屋敷、豪奢な家財道具、都会の街並み、
最新のファッション…、
誰もが多かれ少なかれ抱く
それらのマテリアリズムを本作は
持つか。持たざるか。…という
二元論的な世界観で浮き彫りにしています。

憧憬とルサンチマン。
アンビバレンスな感情でブルジョワを
捉えるその心理は近代作品では西村賢太さんの
芥川賞受賞作品「苦役列車」でも描写されてますね。
僕自身、特に読んでいて非常にシンパシーを感じたのが
上巻九十九頁


ではこれからは、その日その日がいつまでも同じように数限りなく、何物ももたらさず、
こうしてつぎつぎにつづいて行くのか。他の人たちの生活はどんなに平凡でも、
せめて事件は起こり得る機会はある。
一つの出来事が時によると無限の波瀾をまねく。そして舞台が一変する。
それだのに自分にはなにも起こらない。それが神様の思召しなのだ。
未来は真暗な一筋の廊下だ、そしてその奥には戸がぴったりとしまっている。
エンマは音楽を放擲した。ひいてなんになる。誰が聞いてくれる?
演奏会の席上、袖の短いビロードのドレスを身にまとい、
エラールのピアノに向かって象牙のキーを軽やかにたたきながら
恍惚としたささやきがあたりにただようのをそよ風のように感じることが、
到底自分にはできないのであってみれば
厭な思いで練習などするには及ばないのだ。
エンマはデッサンの紙挟みや刺繍を戸棚に捨てておいた。 
なんになる? なんになる?
裁縫しても気がいらいらした。
『もうなにもかも読みつくした』 エンマはこうひとりごちた。
-岩波文庫 伊吹武彦訳-



↓ Full-Resolution ↓

Photography by makomako972
↓ Return to top page ↓
http://makomako972.seesaa.net/

- CLICK TO ENLARGE -
の文章。 素晴らしい一文だと思います。

更に 「マノン・レスコー」 やゲーテの
「若きウェルテルの悩み」 でも書いた通り、
私的に不倫や浮気には同情できないというところは
変わりませんが、エマの一連の不倫劇に関して、
貴族のパーティーでのカルチャーショックから

レオン劇→ルドルフ不倫劇→第二次レオン不倫劇→破滅 

という一連の流れはリレーのバトンのように
彼女の価値観の変化に説得力を与える一貫性が
付与されており、そこは写実主義文学の礎を
築いた一作と言われる世界的な作家としての
巨椀の才を感じさせてくれます。


↓ Related article & External Links ↓
関連記事 & 外部リンク


AMAZON





タグ:仏文学
posted by makomako972 at 00:12| 読書 | 更新情報をチェックする


other con[1].jpg



DSC05355[2A].JPG
財布とカード類の選定
DSC05355[2A].JPG
ランボルギーニ
の自転車を買う
DSC05355[2A].JPG
ビアンキの
ロードを買う
DSC05355[2A].JPG
自転車専用
ガレージ制作


DSC05355[2A].JPG
自作、工作したもの。
DSC05355[2A].JPG
オススメの
CDやBDの紹介
DSC05355[2A].JPG
100冊読書の記録。
DSC05355[2A].JPG
シアターシステム紹介。


DSC05355[2A].JPG
法務大臣からの感謝状
DSC05355[2A].JPG
東京マルイ H&K PSG-1
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
U3A
DSC05355[2A].JPG
デスクの小物たち。






my bikes[1][1].jpg



DSC05355[2A].JPG
Harley
Sportster
DSC05355[2A].JPG
DUCATI
SS900
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
FZ400
DSC05355[2A].JPG
YAMAHA
JOG ZR
DSC05355[2A].JPG
HONDA
NSR250
  
DSC05355[2A].JPG
KAWASAKI
ZEP 750
  
DSC05355[2A].JPG
HONDA
SPADA 250




latest article[1].jpg


最近の記事