2016年03月18日

オペラ座の怪人  ガストン・ルルー

最近はサリンジャー作品を読み返し、
以前起こしたナイン・ストーリーズの記事をグラースサーガとして
書き直したりしておりました。  完全に自己満足です。ハイ。

で今回は世界的な名作であり、ミュージカルの王様である 「オペラ座の怪人」
について書いてみたいと思います。


オペラ座の怪人



ガストン・ルルー  原典



・他人からの眼


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他人の視覚的な偏見というペナルティーから
来る如何ともし難い状況に、その当事者である
人物が翻弄される…という文学的な
アプローチとしては、ドイツの大作家である
カフカの 「変身」 などがその筆頭に挙げられます。
同作の主人公グレゴールは、毒虫という奇怪な
容姿からある種の形而上学的な概念や、日常生活に
従事する様々な人の鋭いシンパシーを萌芽させるなど、
精神性に傾倒した心理文学の色合いが強い一作です。
翻って本作のファントムは、全能な霊者を
連想させる変幻自在、神出鬼没な振る舞いをしたかと
思えば、人に物理的な手段を講じて危害を
加えたりなど唯物的な色合いを強くしたり、
場面を変幻自在に牽引してゆくその能動性は、
文学よりも、ミュージカルや映画などの視覚的要素
の比重が大きいエンタメに適した人格像であると言えます。

・花の都パリが生み出す壮観な芸術性


更に興味深かったのは新聞記者としての前歴をもつ
小説家らしく、緻密な取材の結果に生み出される
ノンフィクション文学的な文章構成や舞台描写が
散見されたり、或いはエリックの人格を形成する
厭世主義的な思想や言動には、ルサンチマンや
劣等感や嫉妬心など、自然主義的な心理文学を構成する
際に用いられる要素を数多く付与されていながら、
光り輝くロマンチシズムが全体を覆っているということです。


オペラ座確かにオペラ座の地下の描写は陰湿であり、
その支配者もまたそれに呼応する人格をもつ
怪物でしたが、日本文学のような多湿な文章(?)
ではなくカラッと爽やかです。
この差を生み出す要因として感じたのが、
「パリ」という街の華やかさです。
オペラ座、バレエ、そして文学に音楽など、
それらの大衆芸術を、あの 「花の都」 が体現した
時だけ生じうる独特の文化的芸術性のようなものが
この作品に多くの財産を与えているな…ということでした。
そしてその財産を余すこと無く使い切ることが出来る
ガストン・ルルーの非凡な文才もそれに
助力しているのは言うまでもないでしょう。



At ROYAL ALBERT HALL  2011年


・公演内容

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宝塚版 「ファントム」 も独自の魅力を持つ
作品ですが、このロイヤルアルバートホール版の
完成度は常軌を逸しています。
今まで見てきたミュージカル作品でも
最高峰に類する作品です。
たった2日間の公演に140名以上のキャスト、
演奏は完全フルオーケストラ、更にバレリーナには
英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルを用いるなど、
他に類を見ない贅と趣向を凝らした芸術です。
更にその内容は全世界1,100スクリーンで
同時衛星中継されました。



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初見の際はそのレベルの高さと、
BD版の秀逸な音響設計のダブルパンチで
暫し言葉を失いました。
巨大な資本を有し、定期的に拠点となる
劇場で公演を行う世界中の劇団、特に国内で
あれば四季劇や宝塚歌劇などは、
商業、芸術性両面でサスティナブルを
深く意識し、それらよって齎される魅力に
溢れる劇場公演を行う性質を持ちますが、
このアルバート・ホール公演は、
2日という極めて短期なので、公演後に
アンドリュー・ロイド=ウェバーが言及した通り、
何もかもが完璧に揃った究極の公演に
仕上げられており、終始一点の曇も瑕もありません。
(写真右 劇団四季WSS観劇の際に撮影したポスター)


・BD版の音響設計


使用視聴環境は、JBL studio_monitor 7.1ch
Fr 4311A + Ce 4312B Mk2 + Sr Control 1 + SrB 4206 + LFE ONKYO SL-10


スクリーン収録はDts MA 5.1chで、音響解像度、S/N感は
以前紹介した 「Chris Botti in Boston」 の
96khz/24bit 7.1chに比べれば些か劣るものの、
総じて高いレベルです。
音場設計の芸が細かく、劇団員に警告する
エリックの壮大な声は、Sr CHの高さを十分に
活かした壮大なサラウンドで示され、
反対に劇団員たちの不安が具現化したかのように
響くコンバスの重低音は、LFEから地面を這うように
出力され、更に観客の拍手はSr B CHから聞こえたりと
基本に忠実な設計も垣間見れます。

ダイナミックレンジは広Dtsらしく広いですが、
7.1chのアップスケーリング視聴でも
リミッタープログラムは必要ないと思います。




ファントム 宙組 2004年



クリスティーヌウェバー版と異なり、国内では
宝塚をはじめとした幾つかの劇団が
度々上演しているのがアーサーコピット版
の 「ファントム」 です。
ブロードウェイ版では、怜悧狡猾で残虐性を
全面に出した人格像でラストまで一貫する
エリックの人格像が本作では転換され、
彼自身の出自に関する脚色を十分に加え、
人格もミステリアスからイノセンスへシフトし、
聴衆に憐憫や同情を感じさせる 「孤高の隠者」
としての本来のパーソナリティを
シンボリックに描いているのが特徴。

国内初演は和央さんと花總さん率いる宙組。
「激情」でも書かせて頂いた花總さんの
高い表現力と歌唱力は健在。 
しかし本作で最も輝いているのはトップの
和央さんで、エリックの人格像、
本当に高い精度で演じておられるという印象。
その他、星組から安蘭さんが出演され、
脇を固める布陣も高いパフォーマンス力を
有するベテランで構成されており、
総じて見応えのある内容となっています。



ファントム 花組 2006年


オペラ座の怪人とにかく春野さんの精度の高い歌唱に驚愕。
ダイナミックレンジの広い声量は
クレッシェンド、デクレッシェンドの切り替えが
まるでプリアンプの無断階ダイヤルを
上下するように正確無比に発声され、
本人の声の質の素晴らしさも相俟って最高です。
キャリエールの言う通り、仮面を付けなくても
良いなら素晴らしいテノール歌手だったでしょう。

キャリエールといえば彩吹真央さんの歌声も
筆舌に尽くしがたい魅力があります。
特に「You Are My Own」での歌声は凄い迫力。
オペラ座の怪人
ヒロインの桜乃彩音さんの歌声も、
ご本人の美しい容姿を表す天使のような
可愛らしい歌声で、特にエリックに仮面を取ってくれと
説得する時の聖母のような優しい笑みをたたえて
この天使の歌声で歌う彼女は、非現実的なまでの
イノセンスで思わずエリックがそれを信用して
仮面を外してしまったのも肯けます。
まあ男の僕としては初見がこの花組公演だったので、
エリックの素顔を見て逃げたクリスティーヌの姿に、

「ええぇぇぇ!!逃げんのかい!!それはないわー」

と思いましたけどね。
男だったら誰だってあんな説得のされ方したら信用して仮面を外しますよね。 
ヒドイ話です(笑)
しかしその直後、逃げたクリスティーヌの姿に打ちひしがれたエリックが発する慟哭の声は、
本当に、いたいけな少年のように純粋で、オサさんグッジョブと言えるでしょう。



ファントム 花組 2011年


オペラ座の怪人再々演は 「蘭蘭コンビ」で、
蘭寿さんのトップお披露目。
さて、蘭蘭コンビの特色としては
何と言ってもダンスのキレ。
特に蘭乃はなさんは2013年にテス役として
オーシャンズに出演なさっていますが、
そこでのデュエットは本当に素晴らしく、
蘭寿さんの高い運動神経によってもたらされる
難易度の高い振りに難なく付いて行っておられた
お姿が未だに印象的に残っております。
なので細かい身振り手振りからダンスに至るまでの
視覚的な面白さという意味でこの花組再演版は
秀でた魅力があります。
あと私的に印象的だったのが、実咲凜音さんが
幼少期のエリック役でお出になられており、
その姿が異様に可愛かったというところでしょうか。


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posted by makomako972 at 19:46| 読書 | 更新情報をチェックする


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